「エディ・メルクス EM525(EDDY Merckx EM525)」
フラッグシップモデルの「EM525」は、エディ・メルクス氏が打ち立てた金字塔、現役通算525勝をモデル名の由来とする。
ベルギーのバイクブランド「エディ・メルクス」が2017年モデルのハイエンドモデル「エディ・メルクス EM525(EDDY Merckx EM525)」を国内で発表した。
剛性高めのレーススペックながら1台で何でもできるバイクを目指したという。レース仕様の「パフォーマンス」と長距離仕様の「エンデュランス」の2タイプのフレームセットで、それぞれにキャリパーブレーキとディスクブレーキを用意。計4種類のラインナップとなった。
エディ・メルクス EM525(EDDY Merckx EM525)は、以前のハイエンドモデル「EMX525」の後継モデルだ。「EM」はエディ・メルクス(EDDY
Merckx)の頭文字。
「525」は自転車競技界の伝説的選手、メルクスの現役勝利数だ。
その勝利数がネーミングされたフレームには、メルクスの最新技術と信念が詰め込まれている。
エンデュランス、パフォーマンスは同様の乗り心地だというが、ジオメトリは違う。
エンデュランスはヘッドチューブがわずかに長く、サイズの小さいモデルからアップライトなポジションが取りやすくなっている。プロの使用にも耐え得る剛性バランスは変わっておらず、大まかな設計は踏襲されているという。
フレームの基本設計は、従来のフラッグシップにあたり、ひと目見ただけでそれだと分かる独特のフォルムを持つ「EMX-525」を踏襲。そして、市販ロードレーサーの中でも1、2を争うほどの高い剛性はさらに強化され、同時にエアロや振動吸収性も高めている。
フレーム上部は快適性を確保するための設計が随所に見てとれる。
トップチューブの中央や、シートステーのブリッジ、チェーンステーのエンド側の各ポイントに屈折を持たせることで、振動吸収性を高めている。
超大径ヘッドチューブは、上1-1/8~下1-1/2とベアリング径こそ変わらないものの、後方にリブを設けたような造形により、前作と比較しても更にボリュームが増している印象だ。
ダウンチューブには「NO-ONE CAN TAKE THEM AWAY FROM ME. EVER.(これまで、誰一人としてこの記録を奪える者はいなかった)」と記されている。
その特徴は、1モデルであらゆる用途に対応できるようにと、レーシーなPerformanceとアップライトなEnduranceという2種類のジオメトリーを用意すること。
そして、それぞれのジオメトリーにリムブレーキ仕様と、ディスクブレーキ仕様がラインアップされる。なお、ディスクブレーキ仕様はスルーアクスルに対応しており、アクスル径は前後とも12mmで、エンド幅はフロント100mm/リア142mm。キャリパー台座はフラットマウントとなっている。
ショルダー部に更なるボリュームを持たせたフロントフォークと合わせて、フランドル地方や北フランスの荒々しい石畳にも屈しない優れたハンドリング剛性を実現している。
同時に、フォークブレードをベンド形状とし、エンドにかけて先細りさせることで衝撃吸収性を確保。
ヘッドチューブとフォークの間には、ラバー製パーツによって隙間を埋め、空気抵抗を低減した。
三角形から台形へとBBに向かって形状が変化するダウンチューブも、ヘッドチューブと同様に超大口径とし、ねじれ剛性を強化。高さを持たせたBB86規格の幅広BBと、左右非対称設計のチェーンステーによって不要な変形を防止し、駆動効率を最大限に高めている。
Sanremo76などと同様に、シートポストは四隅にRのついた台形断面の専用品。
シートクランプは臼式で、トップチューブの裏側からアクセスする方式としており、スッキリとした仕上がりになっている。
ワイヤーは全て内蔵で、ディスクブレーキ仕様のフロント用オイルホースはヘッドチューブからフレームへと挿入される。
ダウンチューブの断面は前モデルのEMX525はボックス型だったが、三角形に近い形状に変わった。
全体的に剛性と振動吸収性、安定性をより高い次元で実現するため、カーボンのレイアップから作り直したという。
カーボンモノコックのシートポストはこれまでシートチューブでの2点止めだったが、EM525ではトップチューブの見えないところで1点止め。シート周りをすっきりさせた。
機材へのこだわりが強いメルクス氏が創りあげるバイクは他のロードバイクブランドとはいくつかの点で異なっている。
まず大きな違いとして「ミックスコンポーネント」を行わないということ。
日本国内に流通する完成車のメインコンポーネントは全てシマノのグループセットで統一し、異なるブランドやサードパーティのパーツを混合させることは決してしていない。
さらに上げられる特徴はカーボンフレームの全数CTスキャンチェック。これにより正しい工程で正しい製品に
仕上がっているかを確認してから出荷されるという徹底した品質管理が行われている。
「エディ・メルクス EM525(EDDY Merckx EM525)」 ディスクブレーキ仕様 フレームセット
日本国内税抜価格:399,000円
サイズ:XXS、XS、S、M、L
フレーム重量:990g
フォーク重量:390g
シートポスト重量:220g
合計重量:約1.6kg
装着可能タイヤサイズ:28mm
ブレーキ:フラットマウント
「エディ・メルクス EM525(EDDY Merckx EM525)」 キャリパーブレーキ仕様 フレームセット
日本国内税抜価格:370,000円
サイズ:XXS、XS、S、M、L
フレーム重量:950g
フォーク重量:360g
シートポスト重量:220g
合計重量:約1.53kg
装着可能タイヤサイズ:28mm
「エディ・メルクス EM525(EDDY Merckx EM525)」2018モデル
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
日本国内税抜価格:フレームセット ¥478,000
重量:990g(フレーム)
エディ・メルクス EM525(EDDY Merckx EM525)のレビュー&インプレッション
以下に数人の感想を記す。個人の意見なのであくまでも参考まで。
予想よりは普通の剛性だが、ハンドル周りの合成には感動した。
下りでは狙ったラインで曲がれる。登りもシャキシャキ登れる。
振動吸収性が非常に高いので快適。
「エディ・メルクス(EDDY Merckx)」の紹介
エディ・メルクス。ベルギー人。1960年代から70年代に活躍したプロのロードレーサー。
その戦歴は圧巻である。
ツール・ド・フランス総合優勝5回、ジロ・デ・イタリア総合優勝5回、 ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝1回と、3つのグランツールすべてを制覇。
そのうち、1970・72・74年にはツールとジロの両方を制する「ダブルツール」を成し遂げている。
ツールにおけるステージ優勝は通算34勝にのぼり、マイヨジョーヌ着用日数96日、1つのツールで8回のステージ優勝という記録は、今後も破られることはないだろうと言われている。
エディはグランツールだけでなく、ワンデイレースでも打倒不可能な存在だった。
また、メジャークラシックのミラノ~サンレモを7回、リエージュ~バストーニュ~リエージュを5回制し、 1シーズン54勝というシーズン最多勝記録も残した。
その他、世界選手権優勝3回、ワールドアワーレコード新記録樹立など、ロードレースにおけるトップイベント全てで勝利をほしいままにし、現役通算525勝という偉業を成し遂げている。
唯一とっていないのはオリンピックのメダルくらいではないか?
16年間の現役時代に通算525勝という、とてつもない記録を残した“史上最強のレーサー”エディ・メルクス。
そのあまりの強さから、カニバル(The Cannibal=人食い鬼)と呼ばれていたことはあまりにも有名だ。
現役時代、メルクスは機材にうるさい選手として有名であった。
名匠の造るフレームの数々を乗り潰し、カンパニョーロ社には特注のチタニウム製パーツを造らせた。
現役時代の終盤、エディのフレーム製作を一手に引き受けたウーゴ・デローザには、実に年間50本以上のフレーム製作を依頼しているほどだ。
素材、重量、スケルトン(設計)など、ロードレーサーのあらゆることに一切妥協しない。怪物にして繊細な神経を持つのがエディ・メルクスだった。
1978年に現役を引退後、エディ・メルクスは自らの経験を生かしたロードレーサーを創るために、ウーゴ・デローザの門戸を叩き、ロードバイク制作を学ぶび、後にブリュッセル郊外に自社工房を興す。
自らはレースを降りても、そして、ベルギー王室から男爵の爵位を送られても、エディのロードレーサーへの探究心は変わっていなかった。
完璧主義者ともいえるエディのこだわりは、現在のエディ・メルクス(EDDY Merckx)ブランドのモノづくりにおいても最大限にフィードバックされている。
最高の素材を用い、エディの経験とノウハウを設計に反映させる。素材の選択から神経を尖らせ、絶対に妥協を許さない。
同社はメルクス氏の機材への強いこだわりを具現化。ジオメトリーを中心に細部まで走りにこだわった自転車を作り続けている。